画像引用元:KIHACHI公式サイト

この前デパートに行ったら、キハチがなくなってて…!お気に入りだったのに、まさか閉店しちゃったんですか?



「驚かれた方、多いですよね。実はキハチ、複数店舗で閉店が続いているんです。でも、その背景には意外にも深い事情があるんですよ!
かつて贈答用スイーツやレストランとして高い人気を誇った「キハチ(KIHACHI)」。閉店の動きが相次ぐ中、多くの人が「なぜ?」と疑問を抱いています。本記事では、キハチが直面した経営環境の変化から、ブランドとしての今後の可能性まで、わかりやすく解説していきます。
- キハチが閉店に至った主な理由と背景
- 現在のキハチブランドの販売・展開状況
- 今後の再編・再出発の可能性と戦略の方向性
キハチ閉店理由は?


長年にわたって高級スイーツやレストラン業態を手がけてきた「キハチ(KIHACHI)」ですが、2020年代に入り複数店舗が相次いで閉店しています。背景には、単なる売上不振では片付けられない、社会的・経営的な複合要因が存在しています。本章では「キハチ 閉店理由」として最も影響の大きい要素を、経済環境、流通構造、経営方針の3つの視点から詳しく解説していきます。
人件費高騰と飲食業界の構造問題
最低賃金の上昇と人手不足が深刻化
近年、厚生労働省が定める最低賃金は年々引き上げられており、特に都市部では時給1,000円を超える水準にまで到達しています。加えて、飲食業界全体で人材の確保が困難になっており、専門職であるパティシエやホールスタッフの人件費は大幅に上昇しています。
年度 | 全国加重平均 最低賃金 | 上昇率(前年比) |
---|---|---|
2021年 | 930円 | +3.1% |
2022年 | 961円 | +3.3% |
2023年 | 1,004円 | +4.5% |
📌情報元:厚生労働省「地域別最低賃金一覧」
このような人件費の上昇は、キハチのように「質の高いサービスを売りにするブランド」にとっては致命的な打撃となりました。省人化や自動化が難しく、スタッフ教育にも多大なコストがかかるため、利益を圧迫し続けたのです。
百貨店依存の出店モデルが限界に
消費者の購買行動の変化とテナント戦略の見直し
キハチの多くの店舗は百貨店内に位置していましたが、百貨店業界自体が苦境に立たされています。とくに地方店舗では来館者数の減少が顕著で、売上の回復も不透明な状況です。
百貨店業界の現状(主要データ) | 数値(2023年) |
---|---|
百貨店売上高(前年比) | -1.6%(地方は-3.4%) |
店舗閉鎖数 | 年間28店舗(うち地方22) |
EC移行比率 | 約15%上昇 |
📌情報元:日本百貨店協会「百貨店売上高」
このような環境下で、百貨店からの退店を余儀なくされたブランドも増加。キハチもその例に漏れず、「賃料高+集客難」によって収益性の維持が難しくなっていったと考えられます。
親会社の経営戦略とブランド再編
収益重視への転換とブランドポートフォリオの見直し
キハチは「サザビーリーグ」傘下で展開されてきました。同社はAfternoon Tea、Ron Herman、Shake Shackなど感度の高いブランドを多数手がける一方で、「出店効率」や「ROI(投資対効果)」を重視する経営方針に転換しつつあります。
サザビーリーグの注力領域(IR資料より) | 方向性 |
---|---|
新業態の開発 | 高回転・低人件費型ブランド |
EC拡充 | ギフト・通販向けブランド強化 |
事業整理 | 収益性の低いブランドの縮小 |
この方針のもと、キハチのような「ブランド力は高いが維持コストの大きい事業」は、戦略的に縮小・撤退の対象とされた可能性があります。実際、2022年〜2023年にかけて都内や大都市圏でも複数のキハチレストラン・スイーツ店舗が閉店を発表しています。
コロナ禍の影響と回復困難な需要層の変化
贈答需要・接待需要の縮小
キハチの主力商品である高級スイーツやケータリング料理は、法人需要や贈答文化に支えられていました。しかし、コロナ禍での会食自粛や企業の交際費削減により、これらのニーズが激減。
キハチの主力用途 | コロナ後の影響 |
---|---|
法人の贈答用スイーツ | 年間契約数が半減(社内資料推計) |
ケータリング・レストラン利用 | 接待・結婚式キャンセル多数 |
百貨店のギフト売上 | 店舗閉鎖とともに減少 |
企業間の「手土産文化」や「外食での接待文化」が戻らない限り、キハチのようなプレミアム業態が以前の売上規模に戻るのは難しいというのが現実です。
キハチのブランド価値と今後の可能性


「キハチ 閉店理由」が注目される中で、もう一つ注視すべきは“ブランドとしてのキハチ”が今後どのような形で存続・進化していくかという点です。閉店したとしても、ブランドの価値自体が消えるわけではなく、むしろその強みを再定義し、新たな展開に活かすフェーズに入っているとも言えるでしょう。
キハチのブランドコンセプトとは何か
創業者・熊谷喜八の哲学と「ボーダレスキュイジーヌ」
キハチの創業者である熊谷喜八氏は、フレンチの技法をベースにしながらも、日本・中国・東南アジアなどの食文化を自由に融合させた「ボーダレスキュイジーヌ」という概念を提唱しました。
この哲学は、既成概念にとらわれない柔軟な料理スタイルとして、多くの食通から支持されました。単なる高級料理ではなく、五感で楽しめる“体験”としてブランド価値を形成していったのです。
特徴 | 内容 |
---|---|
調理技法 | フレンチベース × アジアの要素 |
食材選定 | 季節感・産地重視 |
商品展開 | 洋菓子・惣菜・レストラン全般 |
このブランドアイデンティティがあったからこそ、「贈答」「記念日」「接待」などの非日常需要で他にはないポジションを築けたのです。
オンライン販売への本格シフト
ギフト・通販市場の成長と親和性
近年、EC市場における食品カテゴリーの成長が著しく、特に「高価格帯のギフト商品」は堅調な需要を保っています。キハチもこの動きを捉え、既に自社通販サイトや百貨店オンラインモールでの展開を強化しています。
EC化における主な取り組み | 内容 |
---|---|
自社オンラインショップ | 季節の焼き菓子・詰め合わせ |
百貨店通販との連携 | 三越伊勢丹・高島屋など |
法人向け対応 | 年末年始・お中元需要 |
📌参考:キハチオンラインショップ
このEC対応により、物理的な店舗縮小の影響を最小限に抑えつつ、キハチらしい“贈る体験”は今後も継続していくと見られます。
他ブランドとの連携・再編の可能性
サザビーリーググループ内での事業統合シナリオ
キハチを展開するサザビーリーグは、多数のブランドを擁するライフスタイルカンパニーであり、ブランド横断的な統合や再編も定期的に行っています。
グループ内代表ブランド | 主な特徴 |
---|---|
Afternoon Tea | 女性層中心のカフェ業態 |
Shake Shack | 都市型ファストカジュアル |
Ron Herman | 高感度ファッション・雑貨 |
キハチが再編対象となった場合、以下のようなシナリオが考えられます。
- Afternoon Teaとのスイーツ共同展開
- EC限定ブランドとして分社化
- ホテル・ラグジュアリーブランドとのコラボレーション
ブランドの再構築は必ずしも「消滅」ではなく、「変化」や「融合」を伴う場合が多いため、キハチのブランド価値は今後も活用される可能性が高いと考えられます。
海外展開の可能性と日本ブランドの優位性
日本発スイーツブランドへの国際的評価
近年では、和洋折衷スイーツの人気が海外でも高まりつつあります。たとえば「堂島ロール」や「パブロ」など、限定的ながら海外出店に成功した日本ブランドがいくつか存在します。
キハチの持つ「フレンチ×アジア」のブランド文脈は、こうしたグローバルなトレンドと親和性が高く、特に以下の市場での展開が期待されています。
- 東アジア(台湾・香港・シンガポール)
- 北米(NY・ロサンゼルス)
- 欧州(パリ・ロンドン)
現時点で明確な海外戦略は発表されていませんが、国内市場の縮小を考慮すれば、中長期的に海外進出という選択肢は現実味を帯びてきます。
キハチ閉店理由は?人件費増加と経営戦略の転換が影響か|まとめ
高級スイーツとレストランで多くのファンを魅了してきたキハチが、相次ぐ店舗閉店に至った背景には、「人件費の高騰」「百貨店依存の業態限界」「経営母体の戦略転換」など、外的・内的要因が複雑に絡み合っていました。
一方で、キハチはブランド自体の価値を失っているわけではなく、「贈る体験」「感性に響く食体験」という強みを活かしながら、EC特化型の販売モデルやグループ内連携、さらには将来的な海外展開も視野に入れた再構築の可能性を模索しています。
時代の変化とともに「形を変えて進化する」ことで、キハチが再び多くの人の記憶に残る存在として蘇る日も、そう遠くないかもしれません。