画像引用元:松前屋公式サイト

あの松前屋が閉店って本当ですか?百貨店でよく見かけたのに、突然すぎて驚きました…



はい、実は2024年をもって松前屋は全店舗を閉じ、事業を終了しています。そこには“昆布文化の衰退”や“買収劇”など、複数の背景があったんです!
松前屋といえば、塩昆布や佃煮で知られる老舗中の老舗。その閉店の知らせは、多くの人にとって「和の味の終焉」とも感じられるショックだったかもしれません。本記事では、なぜ松前屋が閉店に至ったのか、そして買収から廃業に至るまでに何があったのかを、専門的な視点と時系列で丁寧に解説します。
- 松前屋が閉店した理由と背景にある市場変化
- 買収後、松前屋が短期間で廃業に至った経緯
- 老舗企業が直面する共通の課題と今後への示唆
松前屋の閉店理由は?


昆布文化の衰退と時代の変化
かつては「ごはんのおとも」として家庭の定番だった塩昆布や佃煮。しかし近年、若年層の食習慣や食卓事情は大きく変化しています。
若年層の昆布離れ
- 食文化の洋風化・中華化が進み、昆布そのものの使用頻度が減少
- 出汁を自宅でとる人が激減し、液体調味料や出汁パックに移行
- 塩分を気にする健康志向により、佃煮系食品の購入者層が高齢化
特に「伝統食品は時代遅れ」と感じる若者が多く、松前屋のような“和の専門店”は訴求力を失いつつありました。



味覚の多様化は避けられませんが、あの「ごはんにのせる幸せ」が失われるのは寂しいですね!
原材料の高騰と円安の影響
2020年代に入ってから続く円安と物流コストの上昇が、松前屋の経営を直撃しました。
北海道産昆布の価格高騰
松前屋が使用していたのは、道南・函館周辺の高級真昆布。しかしその仕入れ価格は、以下のように年々上昇しています。
年度 | 真昆布価格(kgあたり) | 備考 |
---|---|---|
2018年 | 約2,000円 | 安定供給されていた |
2021年 | 約2,700円 | 天候不順の影響 |
2024年 | 約3,600円 | 円安・燃料高が直撃 |
さらに、加工工場の維持費や包装資材、人件費の高騰も重なり、企業努力では吸収しきれないコスト構造となりました。



こだわり品質を守るほど利益が減る…まさに伝統企業のジレンマですね!
後継者問題と技術継承の限界
松前屋の製造には、熟練職人による“手仕事”が欠かせませんでした。
担い手不足の深刻化
- 製造工程に手間がかかり、自動化が難しい
- 若年層の入社希望が少なく、技術継承が停滞
- 熟練職人の高齢化により生産量も限界に
「昆布を削る技術」「煮詰める温度」「味付けの濃淡」など、すべてが“経験と感覚”に基づくもので、再現性のあるマニュアル化が困難だったと言われています。



味の秘訣は、レシピじゃなく“人”に宿っていたんですね!
ブランド再構築の難航
松前屋は一時、「和モダンなパッケージ」や「百貨店イベント」などで若年層への訴求を図っていました。
マーケティング改革の限界
- 伝統=高級=手に取りにくいというイメージ
- スーパー販路での価格競争に巻き込まれた
- 昆布の用途提案(サラダ・パスタ)も浸透せず
“老舗ブランド”としての信頼はあっても、それを今の購買層に魅力的に伝える手段が乏しかったのです。
松前屋 買収から廃業まで何があった?


100年企業が突如売却された背景
松前屋は1912年創業、百余年の歴史を持つ昆布の老舗ブランドとして知られていましたが、2024年に突如買収されたという報道が業界を驚かせました。
買収先は食品業界外の企業
2024年2月、松前屋は大阪に拠点を置く異業種の企業に事業譲渡されました。具体的な社名は非公表とされていますが、食品とは異なる領域(IT系や不動産など)に強みを持つ企業とみられています。
買収当初は、松前屋の「和食ブランド力」や「百貨店流通網」を活かして、新たな事業とのシナジーを模索する意図があったと報じられました。



異業種の参入は再建のチャンスにもなりえますが、“伝統食品”は簡単には転用できないですね!
工場休止と閉店ラッシュ
買収からわずか半年足らずで、松前屋は全ての営業拠点を閉じる方向に舵を切ります。
生産拠点の稼働停止
2024年9月、グループ会社の「松前屋キッチン」が製造工場の稼働を停止したと発表。これにより商品供給が実質的に不可能となり、全国の直営店や百貨店テナントも同月末に一斉閉店しました。
項目 | 内容 |
---|---|
工場所在地 | 大阪市住吉区 |
最終出荷日 | 2024年9月10日 |
店舗閉店日 | 2024年10月1日 |
オンライン販売 | 2024年9月末で終了 |
廃業の真因は再建難航と採算悪化
買収直後にはブランド再建の動きが見られたものの、実質的な経営再建は難航を極めました。
異業種ならではの限界
- 昆布加工・調理技術のノウハウ不足
- 食品衛生管理体制の再構築が必要だった
- 利益率が極端に低く、短期黒字化が困難
また、松前屋の商品は高価格帯であったため、販路拡大による大量販売にも不向きでした。



再建には“商品理解”と“職人文化”が不可欠。異業種の手には余る部分もあったのではないでしょうか!
跡地開発と地域への影響
松前屋の工場があった大阪市住吉区長居エリアでは、すでに跡地活用の動きが始まっています。
分譲マンションへの転用
2025年春以降、松前屋の工場跡地には大手不動産会社が分譲マンションを建設する計画が進んでいます。
地区 | 開発内容 | 完成予定 |
---|---|---|
大阪市住吉区長居 | 11階建てマンション(仮称:住吉レジデンス) | 2026年春 |
地元住民からは「老舗企業が消えるのは寂しいが、活用されるだけ良い」という複雑な声も聞かれます。
関連Q&A
まとめ|松前屋の閉店と廃業、その背景にあったものとは?
100年以上続いた老舗・松前屋が閉店に至った背景には、単なる経営不振だけでなく、食文化の変化、原材料費の高騰、職人不足といった“時代の流れ”に抗えなかった現実があります。
さらに、2024年に実施された異業種企業による買収も、残念ながら再建にはつながりませんでした。高い品質を守るために必要な職人技や製造ノウハウは、短期間で再構築できるものではなく、最終的には事業全体の終了という選択がなされました。
「和の伝統」と「近代ビジネス」の融合の難しさを改めて示した松前屋のケースは、他の老舗企業にとっても他人事ではありません。今後、こうしたブランドをどう残し、どのように進化させていくかが日本の食文化の未来を左右する鍵となるでしょう。



変わることが求められる時代に、変えたくない“本物の味”をどう残していくか、消費者としても考えていきたいですね!